和から学ぶ暮らしの知恵

「一家の大黒柱」という表現のように、大黒柱という言葉は今も日常話の中で用いられていますが、これはもともとは“家に架かる加重を支える最も太い柱”のことを指した建築用語でした。その言葉が転じて、家族など集団の長である」ことの比喩として使われるようになりました。

また「敷居が高い」という言葉も日常的に使われていますが、敷居も大黒柱と同様に和室や押入れの障子や襖を受ける溝のある下部の部材を指す建築用語です。来はその敷居のある出入口が高い=「不義理や不面目のため、訪問しにくくなる」という意味だそうですが、現在では単に「行きにくい」という意味合いで使われることが多くなってきています。和の暮らし向きが少なくなってきた現代では、家の中で大黒柱を目にする機も減り、敷居がないタイプの建具も増えてきました。それでも言葉の中に今も根付いている日ならではの考え方やカタチ、材の工夫を再発見しながら、今の暮らし方に合わせてどのように活かし、新しさを表現していくのかを考えてみましょう。


自然のモチーフを取り入れて和の良さを再確認

日ならではの庭に置石があるのは、もともとは風情を添えるという意味がありました。平らで大きい石を順番に置くことで道しるべの役割をさせるのも楽しいものです。お子様が思わず飛んで遊びたくなるようなレイアウトにするのもいいですね。置石などと合わせて庭先の照明や飾りに、焼き物のモチーフを用いたりするとさらに風情が増します。また室内でも、インテリア小物の素材にこだわるだけでも和の雰囲気を演出できます。

たとえば竹で編んだ小物入れは、意外にもエキゾチックな空間を演出しますし、自然の流木や炭のオブジェはダイナミックなデコレーションとして活躍します。中でも備長炭は空気を清浄してくれる作用があることから、近年では寝室やトイレにも飾られたりと人気です。

いつもの空間に花を飾るだけではなく、桜の木や枝、木の実などを用いることで、和の風情を表現し、趣のあるおもてなし空間を演出してみませんか。


ウッドデッキとは少し違う、縁側のある暮らし

家の外側・庭先に少しだけせり出している細長い板敷き場所は、昔から“縁側”と呼ばれてきました。平安時代には、家または座敷の「へり・ふち」という意味から「縁(えん)」と呼ばれていたそうです。

室町時代には、物のふちや側面が「かは」と呼ばれていたことから、江戸時代にこの二語が結びついて「縁側」と呼ばれるようになったそうです。

英語では、ベランダやポーチと訳されることもあるようですが、日ではこの縁側を人の出入り口(第二の玄関)として活用していたことから、英語のそれとはあてはまらず、この国独特のスタイルといっても過言ではないでしょう。昭和の時代には、この縁側に座って、家族やご近所さんとおしゃべり…という風景がごくあたりまえの生活にありました。夏になるとそこで花火をしたりビールを飲んだり…家族のコミュニケーションの場としても活躍していた縁側の良さを、今の暮らし方の中に取り入れてみるのはいかがでしょうか。リビングや書斎から気軽に外の空気を楽しめる縁側を、広いウッドデッキとつなげて、一繋がりの空間とすることで、春はピクニック気分でランチを、夏は小さなプールも出せ、秋は涼しい風を受けながらベンチで読書…など、一年じゅう様々な形で家族が活用できるスペースとなります。根の下に設けることで、雨もかからない半オープンな空間となり、冬でもバーベキューができるなど、インドア&アウトドアの両方を楽しめるのが魅力です。赤ちゃんがいるご家庭では、時々日光浴させられる場所としても人気です。庭のサイズや暮らし方に合わせてウッドデッキだけでない、縁側の魅力も再発見してみましょう。


和モダンのテーブルセッティングを愉しむ

旅館で出てくる会席料理の盛り付けに、はっとさせられたことはありませんか? いつもの食器のコレクションに和食器をプラスしてみると、またひと味違ったテーブルセッティングが楽しめるはずです。特に、ゲストが来た時には、マットやお箸置セットするだけでも、きちんとした品格が表現できます。

人気の和モダンテイストの食器は、どこかまろやかさがあるフォルム。角がなく、つやのあるものや漆の材、また木材そのものの良さを感じられるような天然木のアイテムも注目されています。


お花の生け方ひとつでニッポンらしさを手軽に表現

“生け花”というと大層に感じられ、いつもの生活とはかけ離れた印象かもしれません。でも“お花を愛でたい”という気持ちがあれば、いつでも生け花が楽しめるのです。ハサミと器があればもうそれはれっきとした生け花。花瓶ではなくても、小さなコップやお猪口、お皿にお花を並べるだけでも、食卓や玄関が華やかになります。自然の花木は、そこにあるだけで見る人々の心を癒し、表情を豊かにしてくれるものなのです。


お部屋の一角に和テイストを添えてひと休み

~和室がなくても床の間のようなスペースを~

近年の暮らしでは、和室に床の間をつくることが少なくなりました。和室自体がない家も多いようですが、部屋の一角に、気軽に床の間を作る方法があります。一枚の木の板(できれば脚のあるもの)を置いて、その上に下記のような飾りを楽しむだけで、即席の床の間のできあがり。情緒あるものを愛でるいい機会になります。

●季節のお花や木を刺した壺や花瓶
●陶器などの置き物や写真立て、和紙などの作品
●床の間の壁に掛け軸やタペストリーを掛ける

~リビングの一角に茣蓙を敷いてごろりとお昼寝~

和室のない家に住んでいると、時に「たたみ」の香りや質感が恋しくなりませんか?そこで手軽に和の感触を楽しめるのが、たたみと同じ素材でできた茣蓙(ござ)です。材料となるい草は、その中心部がスポンジ状の構造になっており、この部分が湿度を調節し、さらにシックハウスの原因といわれる有害物質を除去して室内の空気を浄化してくれます。リビングや子供部屋、ベッドの上など、どこにでもさっと敷いて、お昼寝を楽しんでみてはいかがでしょう?

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