眠りを考えたら暮らしが変わる

日本での寝室の歴史を語るとすれば、「畳の上に布団と枕を設置して、睡眠時に寝室としての用途を準備する」という文化が根強く、今でもそのスタイルは多くの家庭で継承されています。また西洋で発祥したベッドの文化は、紀元前3200年頃の、当時のエジプトで始まったとされています。いつの時代も“横になって快適に眠りたい”という行為は共通していえるのか、多くの埋葬品や壁画などで確認できるのは、マットレスはないものの頭を休めるヘッドレストはすでにあり、現在のベッドと変わらない長方形をしていました。長い歴史の中で、寝室の間取りはある程度ゆとりをもって計画されてきたことが分かります。最低でも4.5帖は必要とされている限られた空間の中で、良質な睡眠のための快適さをどのように工夫できるかを、一緒に考えてみることにしましょう。


効率的なシエスタのすすめ

スペインでは午後1時~4時まではシエスタといういう時間帯になり、店も閉まります。その間仕事は中断し、各自帰宅して昼食をとり、昼寝をする習慣があります。もともとスペインのように日中とても暑くなる時間帯には眠気が強くなり、仕事の効率ががうんと下がります。それなら国中で昼寝の時間を確保しようと、できた習慣です。昼間の活動効率が落ちる時に昼寝ができると脳も体もリラックスできます。シエスタはとても合理的で、仕事や勉強、生活を効率的に行えますが、この生活リズムを見てもわかるとおり、完全に朝型の生活をしています。メラトニンの働き、体内時計の正常化を考えると朝型もしくは短眠で、むしろ適度な昼寝を導入し質の高い眠りをすることで体と脳に負担をかけないのではないかと思います。

 

眠りを考えたら暮らしが変わる、生活の基本ルール

<朝はなるべく朝日のなかで目覚める>
夜しっかりと睡眠をとるためには、実は朝の目覚めが大切です。
起床したらまずカーテンを開けて太陽の光を浴び、一日のリズムを刻む体内時計をしっかりスタートさせます。朝日を浴びるとセロトニンというホルモンが出て気持ちを安定。夕暮れになるにつれてメラトニンというホルモンが出て、夜には自然に眠くななるという仕組みになっています。日光には、正面から当たることも大切。散歩へ出かけたり、室内でも「窓辺に10分ほど立つ」ことで日光を体内にとり入れます。快眠には朝しっかりと起きて太陽の下で活動するという「昼間の生活を整える」ことが大事なのです。

<夜はなるべく間接照明で暮らす>
夜の光は注意しましょう。部屋を蛍光灯などで過度に明るくしたり、寝室に豆電球を灯すのは、体内時計のリズムを崩すことになるのでなるべく避けたいところです。睡眠中もまぶたから光が入るため、自然な眠りが妨げられます。明るさというとメールチェックや調べものをするために明るいパソコンの前に寝る寸前までいるのはおすすめしません。文章を考えるために頭を働かせてしまうことは、メラトニンの分泌を妨げることになるのです。できれば寝る30分くらい前からは薄暗い状態で過ごしましょう。窓から月を眺めてみたり、虫の声に耳を傾けるなどゆっくり楽しむのもいいですね。
残念なことに、現代社会は「眠り」に適した環境とはいえません。例えばついつい夜中でも利用したくなるコンビニ。身体のリズムが眠りへと向かっていく夜9時以降に、明るく照らされたコンビニに行くことで身体が昼間と勘違いし、「眠り」へのリズムが一気に逆戻りしてしまいます。パソコンやゲームをしてしまうと、夜中でもはっきりと目が冴えてしまうというのも同じ理由です。


心地良さを第一に考えた寝室プラン

夫婦の時間をより楽しむために、ベッドルームはもはや“睡眠をとる”だけの空間ではなく、寝るまでの時間をよりくつろぐことを前提としたインテリアを考えることで、もっと心地よい空間になるはずです。たとえば家具はベッドだけではなく、オットマンつきのソファを設置すればホテルライクな空間に。一角にちょっとしたカウンターテーブルを設ければお休み前の晩酌で会話もはずみそうです。


眠りを考えたインテリアとは

寝室のインテリアで特に気を使うべきことは、色の濃いもの、カラフルなもの、柄の大きいものなど、「動」や「活気」のイメージがあるものはできるだけ避けましょう。たとえば水玉など大きな柄の壁紙のなかで、なおかつ赤や青など原色のカラフルなカーテンが吊ってあれば、目が冴えて落ち着かなくなり、ゆっくり眠る雰囲気ではありません。反対に小さな柄や無地に近い壁紙で、淡い優しい色合いのカーテンが吊ってあると、落ち着きを感じられ、さりげなく癒されますよね。さらに、快適な眠りに落ちるための寝室は、照明プランがどうなっているかも大事です。上を向いて寝た時に、頭の真上に豆電球が点いているよりも、床から少し上がったくらいの高さの所で間接照明などを使う方が、全体を照らさず安眠できます。最近はアロマテラピーを兼ねたきれいなデザインライトもたくさん出回っているので、好きな香りを選ぶとより良い眠りの環境になります。


ベッドルームと洗面をつなげた快適プラン

アメリカなど欧米では、それぞれのベッドルームに、個室のシャワールームとトイレ(洗面つき)が設置される場合が多く、日本でも少しずつそのスタイルが取り入れられてきました。夜の入浴や、朝の整髪など、家族が終わるまでの順番を待つことなく自分の好きな時に行えるのがメリットです。生活スタイルがそれぞれ異なる家族には、2階の寝室付近にもシャワールームやトイレを作るのは大変便利です。最近では、スペースがない場合でも、ベッドルームの中に小さな洗面を設置する“セカンド洗面”が注目されています。朝の慌ただしい時間にも、ゆっくりとお化粧や身支度を整えられるので、ご夫婦はもちろんお子様の部屋などにもおすすめです。

<寝室の動線づくり>
寝室を含めた間取りをプランする際にリクエストが多いのは、やはり「寝室のすぐそばにトイレ」です。そして洗面もできれば一直線上にあるほうが、より朝の動きが楽になります。あと寝室内にウォークインクローゼットがあれば身支度もさっと完了。

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