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玄関はとっておきのおもてなし空間

日本の住宅において玄関はいつから存在していたのでしょう。時代劇を見ればわかるように、江戸時代の末期以前は農家や町屋というところに玄関はありませんでした。戸を開ければすぐ部屋があったのです。その後、禅宗のお寺をはじめとする仏教の世界において、その門を玄関と呼ぶようになり、やがてお寺の書院や茶室、公家の車寄、武家の入口なども玄関と呼ばれるようになりました。もともと「玄関」は出入口を表す言葉ではなく、中国の老師の「玄妙な道に進み入る関門」が語源。仏教用語で「奥深い、悟りの道への入り口」を示していました。入っては汚し、また反省して、美しくする。このような人々の営みを表す場所でもあるのです。書院のような一番良い造り、心の和むところを”玄関”と表現した日本人は、玄関まわりに打ち水をして掃き清め、その周囲を美しくすることに心を配ってきました。土足厳禁とするかわりに土間を設け、そこでの交流を楽しんでいた風景に思いを馳せながら、玄関がいかにおもてなしの空間になるかを一緒に考えてみましょう。


玄関はとっておきのおもてなし空間

人間関係と同じように、”家”という存在も第一印象が大事です。清潔ですっきりした家、美しく整理整頓された家は、そこに暮らす人々も、訪ねてきた人も、気持ちよく過ごせるものです。玄関に入ったらいきなり靴が散らかっていたり、スポーツやガーデニングの道具が外に出ているだけで、見た目にも散漫な感じがするだけでなく、悪臭や雑菌の原因にもなり、健康にも良くありません。来客時に「片付ける」というのも悪くはないのですが、できれば家族さえも「おもてなし」するつもりで、常に美しい状態を保ちたいものです。さらに、玄関の一角には季節の草花を添えるよう心がけると、不思議とその空間が整然としてきます。手をかけて育む「日本庭園」を手軽に楽しむつもりで、自然の恵みを用いたおもてなし、してみませんか?

 

「和モダンな小上がりでホールを演出」

イラストは、シックな御影石を使った玄関ホールに、畳スタイルの小上がりをつくり、奥行きを広く見せる工夫をした玄関です。優しい表情で家の中へとお招きするかのような、ゆるやかな階段を取り入れることで、訪れる人をほっとさせる和空間を演出しています。この小上がりの畳スペースは、お茶器や生花などをディスプレイして、和のおもてなしができるだけではなく、コミュニケーションの場としても活躍します。たとえば、家の中へお招きするほど親しくは無い知人が来られた際、簡単なお茶はここでお出しできます。あるいは、突然友人が訪ねてきた際に、家の中へあがってもらえなくても、ここで気軽に腰をかけていただき、お話ができるので便利です。子供たちの交流の場として、地域の回覧板の受け渡しの場として、銀行などの書類のやりとりをする場として。このような玄関先でのスペースがあると、社交性も自然と身につきそうですね。

 

「住人を心地よく迎える露地のある家」

日本独特の茶室や料亭には、長い露地がよく見受けられます。それを模した細く長いアプローチは、それを抜けた向こう側に広がる空間を、大きく期待させてくれる効果があり、それを通常の住宅にも取り入れるデザインが人気です。門扉から玄関までの少しの距離を歩くことにより、外の世から家の中へと気持ちが徐々に切り替わるので「家路に着いた」との安心感がうまれます。また、お客様には、この露地を歩いてもらうことによって「どんなお宅だろう」と想像を膨らませていただける、ちょっとしたおもてなしの空間にもなります。真っ白の壁伝いに、アプローチに沿って砂利を敷き詰めたり、季節の花々を。心に安らぎを与え、訪れた人々だけでなく、住人までをも心地よく迎え入れてくれます。イラストのように、備え付けのベンチを設ければ、玄関先だけでの挨拶でも憩いのスペースになります。


「おもてなし」VS「普段顔」の2WAY玄関で、快適メリハリ生活のすすめ

”晴れの日”つまりフォーマルな場面を設けることで、私たちは生きる喜びを知り、形を整えることができます。その家の顔である”玄関”にも、生活にどっぷり浸かることなく晴れの日を作ってあげると、そこに住む人々にけじめの精神と自制心を育て、生活にメリハリをつけて豊かに暮らすことができます。
「TPOを考える」ことが広く知られてきたこともあり、玄関の横に大きな収納スペースを作る家庭が増えてきました。生活感を隠して玄関をスッキリと片付けることで、「来客時にも清潔な玄関で気持ちよくお迎えできる」「スムーズな生活動線になる」方法をご紹介しましょう。


Formal Entrance「おもてなしの玄関」
生活品を隠して、アートやお花でおもてなし。

お客様が初めに「その家の雰囲気」を感じる場所である玄関。見られたくない生活感のあるモノはすべて見えないところに収納し、玄関ホールには花やオブジェを飾るなど、お客様を気持ちよく迎えるおもてなしの心が感じられる空間演出をしましょう。また趣味の作品の見せ場としても活躍させられます。このスペースは「季節のモチーフを使って作品をディスプレイをする」と決めておけば、ゲストをもてなすたびに違う作品が生まれ、季節の草花を飾るのがより楽しみになることでしょう。

訪れるたびにいつも同じ花瓶というのもつまらないですよね。かといって花瓶を沢山持つのも収納に困りもの。様々な形に変化し、かさばらない器を用意しておくと便利です。あるときいはポプリ、あるときはフルーツ、と入れるものにも変化を。和洋を問わないデザインのものだとなおさら活躍。


Informal Entrance「普段顔の玄関」
お客様をお待たせしない家族のルール。

通り抜けができる収納で出入りも楽々。
お客様用と家族用の動線を分ける

来客時に家族の荷物や脱いだ上着などが置かれてあると幻滅されますよね。そこで玄関の中に家族用玄関を作り、家族はここを通って奥の部屋へ通り抜けられるようにしておけば、来客時に便利なだけでなく、普段の生活の上でもとても快適になります。

  • 自分の荷物をしまいに行くのにお客様をお待たせしない。
  • お客様のコートや荷物、ベビーカーなどをお預かりできる。
  • ここを閉めるだけで、急な来客時にもいつもスッキリキレイに整頓された状態を保て、慌てて片付けなくてもいいので便利。メインの来客用玄関はいつもすっきりと美しく保てます。

家族は外から帰ったらここを通って直接出入り。靴や荷物・上着などをしまってからリビングへ、と自然に片付ける流れが生まれます。


おもてなしの第一歩は、お客様の視点に立つこと

お客様が来られる日は、まるべく早起きして、家じゅうの掃除をしておくことが「おもてなし」の基本。せめて玄関は清潔に、そして人数分のスリッパを用意しておくようにしましょう。冬の寒い日にはお客様はコートを着たまま玄関に入られることもありますので、コートハンガーも用意しておくと便利です。また雨の日には、傘やレインコートが濡れているので、エントランスサイドクローゼットにてお預かりすれば、玄関を濡らすことなく、お帰りの時間まで安心していただけます。親しい友人になるとスリッパの代わりに、ルームシューズをお出しすれば「心ゆくまでくつろいで」いただきたい、という想いも伝わり、喜ばれるはず。家族以外もお客様用をストックしておきましょう。


照明を活かしてドラマティックな夜のエントランスを演出

海外の住宅が、とても「雰囲気がいい」という印象を受けるのはなぜでしょう?その理由として、「照明をうまく使っている」という技が見受けられます。特に、北欧のお住まいは、照明の陰影を利用することで、「温かみのある空間」や「ドラマティックな空間」に仕上げていることが多いのです。玄関のスペースを広くできなくとも、大胆な陰影がつくペンダントライトを使えば、夜のお客様を暖かくお出迎えすることができます。またライトアップ型のスタンドライトを階段や吹き抜けの近くに置くことで、空間を広く見せることができますのでお試しください。照明器具のセレクトに迷ったら、アーティスト作の照明を採用すれば、空間がそのままアートな雰囲気になるから不思議です。温かみのある電球やLEDなどお好みの灯りを楽しみましょう。


エントランスサイドクローゼットがあれば、美しい玄関でお出迎え

玄関横にクローゼットを設けて、家族用の靴は全てここへ収納しておきましょう。ドアで間仕切りしておけば、急な来客時にも、玄関部にはモノが何もない状態で美しくお出迎えができます。さらに、クローゼット内に水に強い土間を設けると、雨に濡れたレインコートや傘、ベビーカーなどを玄関先で預かることもでき、お客様にも喜ばれます。花粉の季節には、花粉をリビングまで持ち込まないで済むのもメリットです。

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