限りある空間で魅力ある家づくり

著名な寺院や庭園などでも多く見られるように、四季折々の景観と庭の景色をつなぐことで奥行を持たせる発想は「借景(しゃつけい)」といわれ、古くは平安時代からあったとされています。日本ならではの”限られた空間”を利用して、広い庭がなくても自然との融合によって住まいに広がりを生み出すことは、庶民の間でも身近に楽しまれてきました。そして、現代の住まいづくりにも、この知恵が再び生かされようとしています。外の光を注ぎ込ませることや、庭やテラスとのつながりをもたせて空間を広く見せたり、一軒家を楽しむためのアイデアは広がるばかり。間取りから準備することはもちろん、家具のセレクトひとつでも随分印象が変えることができます。限られた空間を活かして、いかに家族が快適に暮らせるかを一緒に考えていきましょう。


限りある空間で「魅力ある家づくり」をしませんか?

普段の会話のなかで「整理・整頓」という言葉をひとまとめにすることが多いですが、実はこの2つは違う意味を持っているのです。「整理」とは「いるものといらないものを分け、いらないものを捨てる」という意味があります。管理できる分量を超えていたら、たとえ収納テクニックがあったとしても行き届かず、美しくする効果は望めません。なのでまず要らないものを捨てる「整理」が先決となってきます。また「整頓」とは、「必要なものをいつでも誰でも取り出せるように秩序だてて配置する こと」をさします。「整頓」とは“戻す場所”と”そこにいつまで置くか”の2つを決めること。このルールを決めることで、不要なものは捨てられ、必要なものは元に戻されます。元の位置にあるから見つかるのです。限りある空間でこそ、このシンプルな作業を繰り返すことで常に美しく魅力的な部屋が保たれるのです。

 

庭との調和でリビングルームを最大限活かす

家族がゆったりと過ごすはずのリビングが、十分にスペースを取れなかった場合、どのように解決すればよいでしょう?例えば、小さくても庭を作り、視覚的に広がりを持たせることが効果的といえます。また庭に出るまでにデッキの高さを、リビングの床と同じ高さにしておけば、一体感のつながりで内側のリビングさえも広く見えてきます。また、庭が設けられなかったとしても、窓を大きく取ることによって、外に向かって視界が広がり、室内に居ながらも、光の変化や季節の移り変わりを身近に感じることができます。窓がそのまま大きく開放できるようになっていれば、なおさらピクニック気分で食事や午後の憩い、そしてパーティまでが楽しめる空間になります。


効率の良い間取りで暮らしを楽しむ

限られた面積や間取りの中では、いかにスペースを配分するかがポイントとなります。家具を置きすぎたあとで後悔しても、後でなかなかバランスを取るのは難しいことです。間取りに適した広さをとるには、家族の動線や優先順位を明確にすると良いでしょう。まず置く予定の家具や家電などのサイズを測り、図面に書き込んで広さを確認しましょう。そのスペースでどんな活動をするか想像すれば、「足りない家具がある」とか「この家具は大きすぎて置けない」などが分かってきます。

家具の配置が決まればあとは「ドア収納扉を開けた状態で使う家具を置いても余裕があるかどうか」、「人と人がすれ違うための通路部分には十分な幅が取れているかどうか」を確認しておきましょう。動線となる通路の幅は、平均的には55cm〜60cmと言われていますが、この数字は最小といってもいい幅です。家族がすれ違う事が多くなりそうな場所には、倍の「すれ違いスペース」が必要になると考えておきましょう。


スムーズな動線とスペースの効率を考えた、コンパクトなリビング&ダイニングのデザイン

日頃過ごしていて“狭い”“窮屈”と感じている空間の多くは、圧倒的にリビング&ダイニングルームのようです。たとえば、「ここにはダイニングテーブルはもちろん、ソファとテレビ台は必ず置かないと」と決め込んではいませんか?さらにシェルフやリビングテーブルなど、家具がどんどん空間を埋め尽くしてしまっているから、窮屈と感じるのもうなづけます。今回のトレンドスタイルでは、少し手狭に感じるリビング&ダイニングルームの新しい使い方や注目を浴びているスタイルをご紹介します。毎日過ごす空間だからこそ、快適に過ごしたいもの。レイアウトや家具選びを少し見直すことで“魅力ある空間”を作ってみませんか。


“ラウンジスタイル”のリビングも選択肢のひとつ

近年インテリアショップや雑誌などで取り上げられている「ラウンジスタイル」の認知度が高まっています。限りあるリビング&ダイニングルームにゆとりをもたらすため、食事にもくつろぎにも適するテーブル&チェアを置くだけのシンプルなレイアウト。ソファがない分、随分とスペースを有効的に使えるのが魅力です。テーブル&チェアは従来の高さよりも低く設計されたものを選ぶことで、ソファでくつろぐようにおしゃべりをしたりTVを見たりすることができます。ただし以下のことに気をつけることが必要です。“姿勢をキープできる背もたれやアームがあること”“座り心地がよい座面であること”“快適に食事ができる高さであること”“姿勢を変えても納まりがいい”など、まずは家族の好みやスタイルにマッチしたものを選ぶようにしましょう。


“ベンチチェア”ならゲストが来ても大丈夫

ダイニングルームで意外にスペースを取っているのが、テーブルを取り囲むチェアの存在。“4人家族ならチェアは4脚必要”と 無理やり揃える必要はありません。たとえばメインのチェアを2脚だけにして、あとは長い“ベンチチェア”を用意してみるだけで、様々なレイアウトが楽しめるようになります。下のイラストのようにサイドに置くだけで、視界が広がり、ダイニングルームが広く見えます。通常のチェアだと1脚に1人しか座れませんが、ベンチなら2〜3人は座れるので、複数の友人や親戚が来た時や、子供達もさっと座ることができるので便利です。掃除する際には壁側にくっつけておけるので、すっきりとした印象を与えますし、動線も良くなり一石二鳥の優れものです。


兼用できる家具えらびでスペースに余裕を

イラストのように、キッチンの横にダイニングテーブルをおき、リビングスペースには、ソファとリビングテーブルを置くのが一般的なレイアウトです。それを思いきって、右のイラストのように家具をひとつにすることで、随分とスペースを空けることができます。庭やインナーテラスに面しているリビングルームであれば、ヌケ感があるだけで、とても開放的になり、フリースペースとして様々な用途に使えるようになります。また、リビング&ダイニングルームの兼用のテーブルは、低めに設定されているため、視界が広がり、部屋に入ってきた時の印象が“とても広々と見える”メリットがあります。2〜3人が座れるソファタイプなら、食べた後に寝そべることもできますし、ゲストが来た時にソファを動かせば、達った印象にもなります。

限られたスペースに、沢山の家具を詰め込むより、兼用できるアイテムを活用すると余裕が生まれる。


視覚効果で広さを表現するテクニック

限られた空間でも視覚効果を使うことで、広く、明るく部屋を見せることができます。たとえば、「色」の効果を利用するなら、まずは複数の色を使わずにワンカラーで統一すること。白は圧迫感を与えず、実際以上に部屋を広く見せる効果があるのでおすすめ。白は太陽の光を反射してくるので、明るく爽やかな雰囲気を作る色です。リビングルームだけでなく、子供部屋や書斎も魅力的に見せることができます。

<窓を広く取ってヌケ感を>
狭い部屋を広く見せるには、視線の「抜け」を作ることも効果的。「抜け」とは、視線を遮らないこと。つまり部屋に入った時、邪魔するものがなく視線が部屋の奥まで通るようにすれば、開放感が楽しめます。なるべく低い家具を選び、背の高い家具は壁際に置くようにすれば、床面を多く見せて空間の広がりを感じさせることができます。


ミラーを使って奥行を表現する上級テクニック

狭く感じている空間に、視覚的な効果を使って広く見せる方法として、「ミラーを使う」こともおすすめです。このテクニックは、よくレストランやショップなどに取り入れられていて、「すごく広く見えて、まだ奥があったのか」と思ったことはありませんか?というように、できるだけ大きめのミラーを部屋に取り入れることで、そのような“目の錯覚を起こす”効果を活かして、全体に奥行が出て、とても広く見せることが可能です。たとえば、下のイラストのように、部屋の半分を占める寝室のクローゼットの扉を、ミラーに変えるだけで、随分と奥行が出て広々と過ごすことができます。さらに写り込むことを考えて観葉植物を置けば、グリーンあふれる空間に見せることもでき、もちろん姿見としても重宝します。日中の反射なども考えながら上手に取り入れてみましょう。

<ミラーがない場合>
奥行がなく圧迫感を感じる

<ミラーがある場合>
奥行ができて広々と感じる

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