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家族から住宅購入の資金を援助してもらうときの注意点

マイホームを購入する際の資金としてほとんどの方が住宅ローンを利用しますが、親などから購入資金の援助を受ける場合もあると思います。
資金援助を受けると税務上は「贈与」があったとみなされ、基本的に贈与税の対象となってしまいます。
ただし、このようなケースにおいては贈与税の特例を活用することで贈与税の控除が受けられることもあります。
ご自身の状況に応じて、適切な手続き方法を選択するようにしたいものです。

 

通常だと贈与税はいくらになる?

特例を適用しない場合、贈与税は「(贈与価格-基礎控除」×税率-税額控除」の方法で計算します。
贈与税は暦年課税方式をとっており、贈与を受ける人1人に対して1年(11日~1231日)あたり110万円の基礎控除枠が設けられています。
また、税率は累進課税となっており、もらう金額が大きくなるほど税率も高くなっていきます。

基礎控除を差し引いた課税価格

税率

税額控除

200万円以下

10%

なし

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

たとえば住宅を購入するにあたって親族から1,000万円の資金援助を受けた場合、まず基礎控除の110万円を差し引いた890万円が課税価格になります。
上記の早見表を見ると「1,000万円以下」の区分が該当しますので、税率は40%、控除は125万円となっています。
よって「890万円×40%-125万円」の式となり、贈与税は231万円ということになります。

 

贈与税は安くならないの?

1,000万円の資金提供を受けるのに200万円以上の贈与税を支払わなければならないとなるとちょっと考えものですよね。
贈与税にはいくつかのポイントがあり、手続きの方法によっては税額を安くすることができる可能性があります。

 

①「一般贈与」と「特例贈与」

2015年の贈与税改正によって「特例贈与」という制度が新しくできました。
特例贈与は、直系尊属から直系卑属(子供・孫)へ財産を贈与する場合は特別に一般贈与よりも低い税率を適用することができるというものです。

■特例贈与の税率表

基礎控除を差し引いた課税価格

税率

税額控除

200万円以下

10%

なし

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

一般贈与の例では1,000万円の資金贈与を受けるために231万円の課税額になりました。
同じ金額でも特例贈与なら税率が30%・税額控除が90万円になりますので、「890万円×30%-90万円」で税額は177万円ということになります。

特別贈与の適用を受けるために注意したいのが「あげる人ともらう人の関係性」です。
たとえば夫婦でマイホームを購入するケースで、どちらか一方の親から1,000万円の贈与を受けたのに夫婦で半分ずつの共有名義で登記をしてしまうと、500万円分は一般贈与となってしまいます。

 

②「住宅取得資金贈与の非課税特例」の活用

親や祖父母から住宅購入のための資金を贈与してもらう際に使える特例に「住宅資金贈与の非課税特例」というものもあります。
住宅資金贈与の特例は、一定の条件を満たせば、贈与額の5001000万円の部分が非課税になるという制度です。

■贈与者(あげる人)
・直系尊属(親、祖父母)

■受贈者(もらう人)
18歳以上
・贈与者の直系卑属(子、孫)
・原則として贈与年の所得が2,000万円以下であること(1,000万円以下なら4050㎡も可能)

■住宅の床面積
50㎡以上240㎡以下

■適用期間
・令和51231日まで

■非課税限度額
・耐震性能、省エネ適合、バリアフリー住宅など一定の要件を満たす住宅→1,000万円
・上記に該当しない一般的な住宅→500万円

その他の条件等は国税庁HPよりご確認ください。

ちなみに住宅資金贈与の非課税特例は一般の贈与税の暦年基礎控除枠との併用が可能です。
たとえば1,000万円の資金贈与を受けるとき、非課税限度額が500万円の場合は「1,000万円-500万円-110万円」となり、課税価格は390万円となります。

また、このときの贈与者と受贈者は直系尊属・卑属の関係ですので、税率と税額控除は特例贈与の内容が適用されます。
課税価格が390万円のとき「(390万円×15%)-10万円」となり、約48万円の贈与税額となりました。

 

住宅資金贈与非課税枠の注意点

住宅資金贈与の非課税枠を活用する際に注意しなければならないことがあります。
それは「非課税枠を適用するためには必ず税務署への申告が必要になる」ということです。

上記の例のように贈与が発生するケースにおいては当然に申告手続きを行うと思いますが、贈与税がトータルで0円になる場合でも申告をしなければ非課税枠自体が使えなくなってしまいます。
たとえば贈与額が500万円なら非課税枠内に収まっているため申告手続きが不要と誤って判断してしまうケースがありますので、注意しましょう。

 

③「相続時精算課税」の活用

住宅資金の援助を受ける際に活用できる制度として、「相続時精算課税」というものもあります。
相続時精算課税制度は、親・祖父母から生前に受けた贈与を相続発生時(将来、亡くなったとき)の相続財産に加算するというものです。
この制度は最大2,500万円まで適用することができ、贈与の額が控除枠内であれば贈与税がかかりません。(2,500万円を超える場合は、超えた部分が贈与税対象となります)
相続時精算課税で注意しなければならないのが、「税が全くなくなる」というものではないということです。
贈与者の生前に2,500万円の控除枠を活用した場合、相続発生時に残された財産が1億円であれば、相続財産は1億円+2,500万円=12,500万円となります。

つまり贈与時に税金がかからなかった分、将来の相続税が高くなる可能性があるということを留意しておく必要があります。

相続時精算課税は、相続財産が基礎控除内に収まる場合(相続税が生じない範囲の財産しか持っていない場合)のケースなどでメリットを発揮します。
総合的に見て活用すべきかどうか判断するようにしましょう。

[住宅取得等資金の相続時精算課税]

■贈与者(あげる人)
・父母または祖父母
※住宅取得資金ではない場合は60歳以上の条件が加わります。

■受贈者(もらう人)
18歳以上の推定相続人となる子または孫

■住宅の床面積
40㎡以上

■適用期間
・令和51231日まで

■控除額
・同一の贈与者・受贈者でトータル2,500万円(枠内であれば何回でも控除可能)

制度を活用し、申告は必ず行う

住宅資金の贈与があったときは、税務署に申告が必要です。
たまに「現金で受け渡せば税務署に知られないのでは?」と申告をしないケースがありますが、万が一あとで無申告が発覚した場合は追徴課税が生じることもありますので必ず必要な手続きを行うようにしましょう。
その上で、住宅資金贈与非課税特例や相続時精算課税などを活用し、損をしない選択をすることが大切です。

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